魚の油ってコレステロールにならないの?

そもそも食べ物が絶対的に不足していた時代。

経済的な問題から食生活がままならない家庭が多かった時代。

……と、現代とは根本的に視点が異なります。

前提として、少なくとも日本に限れば、今は栄養の不足ではなくて、過剰のほうが問題になることが多い時代です。

この時、問題はつまり3つです。

1 全体として、脂質の摂取を抑制すること

2 悪玉コレステロール(LDL-C)を減らすこと

3 善玉コレステロール(HDL-C)を増やすこと

全体の脂質摂取を押さえながら、HDL-Cの割合を増やす

さらに集約して言うと、生活習慣病を防止するという今の私たちにとっての視点は

「全体の脂質摂取を押さえながら、HDL-Cの割合を増やす」

ということに他なりません。

この前提で言えば、悪玉コレステロール(LDL-C)の増加につながる食品を極力控えることが第一に大切になります。

すると、そもそも脂質が多いうえ、(LDL-C)の増加につながる食べ物と言えば真っ先に上がるのが「肉」です。

特にいわゆる「カルビ」とか「バラ肉」といった脂肪の比率がきわめて高い部位です。

また、鶏肉は比較的ヘルシーなイメージがありますが「カワ」の部位には脂質が集中しているので注意が必要です。

また当然、動物性の脂質を多く含むバターや生クリーム、あるいはラードなどは(LDL-C)の増加に直結します。

また、卵の黄身、いくらや明太子などの魚卵も挙げられます。

そして、悪玉コレステロール(LDL-C)を減らすことを目指すとなれば、まず考えられるのは野菜を摂ることになります。

他にも、豆類、キノコ類、ヨーグルトなどの乳製品、果実の中に、特に(LDL-C)を減らす効果の高いものが色々あります。

つまり、単にそれ自体に悪玉コレステロール(LDL-C)が含まれないというだけではなくて、すでに体内にある悪玉コレステロール(LDL-C)を除去、排除する働きがあるのです。

そして、その一つの選択肢として「魚」もあるのです。

魚をたくさん食べれば健康になる?

確かに、アジやサンマなどのヒカリモノの魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸は善玉コレステロールを維持しつつ悪玉コレステロールだけを吸収、排出させるように働きます。

なので、コレステロールのコントロールには非常に有効な食品と言えます。

では、魚をいつもたくさん食べてればどんどん健康になっていく……のかというと、そうじゃないです。

むしろ、魚も全体として脂質が多いものが少なくありません。なので、全体として、脂質の摂取を抑制することから考えるともちろん食べ過ぎは良くないのです。

これは、前提として押さえておいたほうがいいと私は思います。

そもそも脂質は全体として過剰になると体脂肪が増え、結果として血中のコレステロール全体の増加につながり動脈硬化や心臓疾患の要因になります。

また、タンパク質だってカロリーですから全体として過剰になれば当然体脂肪が増えますし、余剰のたんぱく質を排出するにはカルシウムを消費し、腎機能にもより負担をかけることになります。

要するに、そもそも全体としてカロリーを控えなければダメなのです。

ただ、平均的に言えば、そもそも魚だけを食べ過ぎている人というのは、いくら海に囲まれた日本と言えども現代ではそうそう存在しないでしょう。なので、言い方として

「もっと魚を食べろ」

という表現になるわけです。

全体のカロリーをコントロールする中で、特に肉とか炭水化物といったものに偏り過ぎて食べ過ぎている分を、魚(あるいは野菜や他の食品群)に振り替えてバランスを整えることが勧められているのであって、もっと魚を食べろと叫ばれるのは、今の食生活をそのままにして、さらに魚を食え、というのではありません。

……って、当たり前ですよね?

こう話せば当たり前みたいに思えますけど、ダイエットでも生活習慣病でも実際にしばしば行われるパターンを見れば、当たり前に実践するのはけっこう難しいということが分かるでしょう。

つまり、

「このサプリメントを飲めば」

「この健康食品を食べれば」

「この栄養成分をたくさん摂取すれば」

そうすれば、

「今の食生活のままでも」

改善は可能だと、そう勝手に解釈する人が意外に少なくないのではありませんか?

基本的には……

「そんなわけないじゃん」

ってことです。

第三のコレステロール「レムナントコレステロール」

少し前ですが、悪玉コレステロールよりも、むしろレムナントコレステロールのほうがマクロファージ(血管壁の傷から発生する血栓の原因)に取り込まれやすく、動脈硬化の促進に直接影響しているのではないかという懸念が示されました。

……テレビでもやってました。

「レムナント」というと難しそうですが、これは「残り」とか「はんぱ」といった意味の言葉で、要するに血中の脂肪のうち善玉でも悪玉でもない部分、血中に回遊しているいわばコレステロールのカスみたいなものと考えてよいでしょう。

私の今回の健康診断の結果で言うと、

「脂質代謝」の項目で

TC(総コレステロール) 235㎎/dL

に対して、

LDL-C(悪玉) 120㎎/dL

HDL-C(善玉) 109㎎/dL

となっていました。善玉と悪玉を合計すると、229㎎/dLですが、総コレステロールはこれより多いです。

つまり、この差の分「6㎎/dL」が私のレムナントコレステロールの量ということになります。

それで、魚に含まれるepaという脂肪酸が、このレムナントコレステロールの抑制につながるのではないかと考えられており、研究が進んでいるのです。