膝の痛みの原因「歳のせいだと我慢しないで」

妻が数か月前から「膝が痛い」「膝が痛い」と痛みを訴えるようになりまして。医者に通い出しました。

私の妻は長年販売の仕事をしており、立ち仕事が続いたことと、もともと大柄な女性でしたが結婚、出産後にますます大きくなりあそばされ……まあそれらの負担がより大きく膝にかかるのだろうなと。

いつもは強気で憎たらしいと思うことも多々ありますが……やはり立ったり座ったりするたびに「痛い、膝が痛い」と一人で呟いていたり、膝の痛みを気にして片足を常にかばうような仕草をしている姿を見ると、やはり気の毒にもなります。

自分で勝手に納得してしまって良いの?

妻もそうですが、膝の痛みって

「もう歳だから仕方ない」
「いったん痛んだらもう治らない」

とか、自分なりに勝手に判断して諦めてしまいがちですよね?

でも、できるだけ原因をはっきり定めた上で、しっかりケアすれば症状は今よりもずっとよくなる可能性だってあるのではないでしょうか?

また、もっと早い段階で予防的なケアを意識的に始めていたら……と思うと悔やまれます。

膝の痛みの原因

膝が痛くなる原因は、大きく分けると筋肉の裂傷や血行不良などが影響して結果的に膝に痛みが生じている場合と、軟骨、半月板、靭帯といった膝関節自体の劣化や損傷の場合に分類できます。

たとえば、よく聞くのは「半月板損傷」ですが、これはスポーツやケガ、または老化などにより、半月板に裂傷が起こった状態で、膝関節自体に障害が起きています。

腫れや外傷が見られない場合

膝の動きに直接影響する筋肉は第一に太腿の前面にある大腿四頭筋です。この筋肉に炎症や裂傷があると結果的に膝に痛みが起こりやすくなります。

しかし、この場合にはいったんできるだけ安静にして筋肉の復旧を待ち、その後軽いトレーニングやマッサージを継続することで膝の痛みは治ります。そうすれば膝関節そのものに障害が出る心配は少ないでしょう。

ただし、筋肉や血行の問題も長期化すれば膝への負担が続くことになり、最終的には膝関節自体の損傷や劣化に至ることになります。

ですから痛みが引いた後も、膝に負担をかけないような生活上の工夫を取り入れたり、筋力の維持を図ったりするして再発を防ぐことが必要です。

また、血行不良や冷え性のような状況が慢性化していることから膝が痛む場合がありますが、この場合にも腫れや外傷などはなく、たとえば病院に行ってレントゲン写真を撮っても特に悪い部分が見つかりません。

しかし、これを単に「疲れただけだろう」「たまたまだろう」と考えて長期間放置していると結局やがては関節自体の損傷や変形につながってしまいます。

こういった場合には温熱療法やマッサージ、ツボ押しなどで劇的に改善する場合があります。また、血管や末梢神経の劣化や動脈硬化を防止するような食生活や運動習慣の改善なども検討すべきでしょう。

偽痛風

60代後半から70代の高齢の方で、特に理由もないのに急に膝の痛みが自覚された場合、偽痛風という症状が疑われます。膝関節の周囲にカルシウムの結晶ができることによって痛風のような急性の痛みが出ます。

この場合には医者で調べれば適切な治療によって数日で痛みを消すことができますので、病院に行きましょう。

膝が腫れている場合

次に、関節そのものに問題が生じる場合ですが、この場合には、たいがいは炎症や腫れ、あるいは水が溜まったりして自分の目にも明らかに膝が悪いというのが分かるようになるでしょう。

これにも一過性の場合がありますが、加齢などによる場合のように基本的に自然治癒する見込みがないと言われる場合もあります。

特に中高年以降に多く見られる例として

「変形性膝関節症」

という症状があります。いわゆる「膝がすり減った」状態です。

妻も私もちょうど40代ですが、この年頃になると膝を覆っている膝蓋骨表面の軟骨部などがすり減って再生が追い付かなくなってきます。

これにより膝関節の保護がうまく行かなくなると同時に、はがれた軟骨の残骸などが刺激となって炎症(滑膜炎)を起こし、痛みます。多くの場合腫れやむくみが出たり水がたまったりもします。

変形性膝関節症の場合は、基本的には加齢による自然現象のようなところが大きいため対症療法になりがちで完全に回復する可能性は少なく、適切な時期に手術を行うことも検討します。

スポーツ時などに膝の痛みが突然来た場合

スポーツなどによる過負荷や、立ち仕事や力仕事での疲労の蓄積によって筋肉や腱が一時的な炎症を起こすこともあります。若い世代でもあり得ますし、突然だとびっくりしてしまうかもしれませんが、むしろ一過性のものであれば完治する可能性も高いわけですから、しっかりした治療と、その後のケアを心がけましょう。

また、突然痛みが発生する場合について、外的な力がかかったことが明らかな場合まず捻挫が疑われることになります。

一般には広く捻挫(ねんざ)と呼ばれていますが、正式には体の各部に存在する靭帯の一部に亀裂や損傷が起こること、つまり

「靭帯損傷」

のことを指します。

膝に関わる靭帯は

① 内側側副靭帯
② 外側側副靭帯
③ 後十字靭帯
④ 前十字靭帯損傷

の4つがあります。

もちろん靭帯は膝だけでなくすべての関節にありますので、捻挫はどの関節でも起こる可能性があり、日常よく「足をくじくいた」とか「突き指した」という場合のように軽度の捻挫が起こることはだれもが日常的に経験するものです。

ただし、膝の捻挫はスポーツなどの練習中や試合中、あるいは歩行中や自転車に乗っている時などに激しく転倒した場合などに起こる可能性が高く、症状が重くなったり長引いたりしがちです。

また、とりあえず病院でレントゲン検査をして、骨折や脱臼などが見られない場合はいったん「捻挫」と診断されることが多いのですが、いったん捻挫だけと診断されても、経過によっては後からより詳しい検査によって「半月板損傷」や「軟骨損傷」が見つかる場合もあります。

一口にねん挫と言ってもごく軽度ものもからかなり重度の靭帯断裂まで、程度は様々です。

捻挫すると激しい痛みあるいはこわばった感じがあり、見た目にも腫れがあったり、時にはアザが見られることもあり、重度の靭帯損傷では膝関節固定具によって膝を曲げないように固定して一定期間過ごすことになります。

が、軽度の場合には1日安静にしていれば痛みは治まりますので、それほど気にしなくても良い場合も多いです。

ただ、実は靭帯そのものはある程度大きく傷ついてしまうと再生がほぼ見込ないことも少なくありません。

特に前十字靭帯損傷などは大きく裂傷を負ったり、時には完全に断裂してしまったりする事故も多く、この場合には仮に腫れや痛みが治まっても、日常生活に支障をきたす例も少なくありません。

特にスポーツなどに復帰したいとなると原則手術によって外科的に靭帯を再建するしかありません。また、再建手術に成功しても術後には長期間の慎重なリハビリテーションを要します。

関節リウマチによる膝痛

中高年以降では、特に朝起きてから1時間くらいこわばった感じや鈍い痛みが出る関節リウマチの症状である場合があります。進行すると腫れたり痛みや発熱を伴ったりします。これらの症状が6週間以上続いた場合、関節リウマチを疑います。

関節以外にも全身倦怠感、痛みなどの症状が現れることがあります。病気が進行すると関節の軟骨や骨が破壊され、関節の変形に伴う 屈曲拘縮 (くっきょくこうしゅく)、強直、脱臼といった重い症状が出るようになります。

関節リウマチだと治療の方針がまったく異なるので、歳のせいだと我慢せずにとにかく一度は医者に診てもらってください。

膝に水がたまるとはどういう状態なのか

膝の痛みが続いている時、医者に行くと「膝に水が溜まっている」と言われる場合があります。

「関節水腫」

と言いますが、膝を伸ばした状態で膝のお皿(膝蓋骨)を下方向に押さえ、もう一方の手で周囲を触ってみるとぶよぶよした感じなので自分でも分かります。

実は正常な状態でも、もともと膝の関節部分は滑膜という膜で覆われていて、その中に関節液という体液があって潤滑油のような役割をしています。

「水がたまる」というのは、滑膜が内部からの刺激などによって炎症を起こし、関節液の分泌と排出が正常に行えなくなっているために関節液が異常に増えすぎている状態のことです。

膝に水が溜まった場合、まずはなるべく負担をかけないように安静、サポーターなどによる固定。湿布やアイシングによる消炎を施しつつ様子を見ることが多いでしょう。

私の妻も医者から「膝に水が溜まっている」と言われたと言っておりましたが、特殊な処置はなく、今のところ湿布を続けながら様子を見ているようです。

状況によっては医者でとりあえずたまった水を抜く処置を行うことがありますが、いったん水抜きしても炎症などの原因を止めなければまた溜まり始めますので、原因となっている症状を特定してそれを治療する必要があります。

膝の構造

膝の関節は、大まかに言うと脚の大きな骨、太腿(ふともも)の部分にあたる大腿骨(だいたいこつ)と、脛(すね)から足元に伸びる脛骨(けいこつ)の間に、いわゆる膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)がちょうど、ドアを取り付ける際に使う蝶番(ちょうつがい)のように乗っているような形をしています。

【蝶番】

この主要な骨格のそれぞれが筋肉・腱・靭帯によって結び付けられていて、曲げ伸ばしができる構造になっているのですが、保護されているとはいえ骨どうしも直接接触しているので、曲げ伸ばしをするたびに擦れ合っています。

そこで、擦れ合う部分は負担を和らげる軟骨になっているのですが、年齢が高くなるとこれが少しずつ削れて軟骨部分が少なくなってくるわけです。

成長期には代謝によって常に復旧されていますが、加齢とともに復旧ができなくなってくると、特にケガや損傷がなくても軟骨部位が少なくなってしまったり、削れた軟骨のカスが代謝によって除去し切れないまま残存してしまうことになります。

これが「変形性膝関節症」の原因です。

大腿四頭筋の衰えが膝の皿の痛みにつながる

膝の「お皿」つまり膝蓋骨と、太腿の筋肉である大腿四頭筋とは、連動して歩行や膝の屈伸運動を支えています。

ですから膝の皿に痛みがある場合には「変形性膝関節症」など膝蓋骨そのものに関係する痛みなのか、大腿四頭筋の破損や衰えによるものなのかをまず見極める必要があるわけです。

大腿四頭筋が加齢や運動不足などによって弱ってしまうことは、その分だけ膝蓋骨に体重や運動などが膝に与える負荷を大きく与えてしまうことになります。結果的に膝蓋骨の劣化を早めることになります。

逆に大腿四頭筋を強化すれば膝関節自体に多少の劣化や損傷があっても、日常動作では痛みを感じにくくなります。

よって、いずれの場合にも大腿四頭筋の筋力を維持することが膝にとって重要なポイントになります。

中高年以降の大腿四頭筋の筋力維持には歩行やランニングといった膝に負担をかけるトレーニングではなく、座ってできるような軽めのトレーニングが有効です。

また、筋肉が凝り固まっていることが多いので太腿や膝蓋骨の周辺をほぐすようなマッサージ法が有効です。

手術のタイミングと安全性

たいてい、膝痛は初期の段階では膝への負担を極力避けながら症状の改善を目指します。

関節リウマチなどの場合には内服薬を用います。また裂傷や変性、変形の場合にはステロイド剤などの注射による投与によって炎症を治療できることもあります。

しかし、これらの処置で著しい回復が見られない場合には手術を検討することになります。

外科的な処置(手術)の種類としてはレベル的に軽度のほうから言って

① 軟骨の破片を除去する手術
② 脛(すね)に人工骨を挿入してX脚にすることによって関節内側の痛みを減らす手術
③ 部分置換手術(部分的に人工関節に変える)
④ 全置換術(膝関節全体を人工関節に変える)

が考えられますが、人工膝関節手術は正常にうまく行った場合でも術後の痛みが相当強く、一か月程度続きます。それもあって、多くの人は手術を恐がったり大げさすぎると考えたりして、ぎりぎりまで対症療法を続けてしまいます。

しかし、早く対処すればより軽度の手術で済んだのに、結果的に症状が進行してしまい、全置換手術にならざるを得なくなるといったことも往々にしてあり得るのです。

もし、より軽度の施術で済むのなら早めに行ったほうが良いとも考えられます。

過剰に恐れずに医師によく相談してみるのがよいでしょう。