鰹(カツオ)の旬がいまいち分からない

鰹(カツオ)と言えば「土佐の一本釣り」と名高い高知、あるいは「びんた料理」が知られる鹿児島の枕崎などが有名ですが、漁獲量がダントツで多いのは実は静岡県で、次いで小笠原諸島を含む東京、次が三重、その次が高知県。意外な気もします。

このように実際にはカツオは日本全国で水揚されています。というのも、カツオは典型的な回遊魚。常に泳ぎ続けていないと呼吸ができない魚です。

日本近海で言えば、毎年春先に沖縄から鹿児島付近に姿を現し、黒潮に乗って九州から四国沖と北上し、秋には宮城県沖に至ります。そこで今度は親潮に乗って南下を始めます。

鰹は大きいものは10年くらい生きます。主に太平洋一帯を回遊し、毎年同じ時期に同じ水域を通るのです。

鰹の旬はいつなの?

このように移動しながら生きている鰹なので、水揚げされる時期は地域によって異なります。

鹿児島など九州地方ではカツオ漁は3月ごろから。静岡から関東付近では5月、三陸では8月ごろがカツオ漁の最盛期となります。

なので、いわゆる「初ガツオ」のシーズンと言えばちょうど鰹たちが土佐の高地を通過する4月頃。これがカツオの旬ということになります。

しかし、今度は三陸沖、宮城県辺りまで北上して、そこでUターンして南に向かい始める鰹、これを「戻りガツオ」と言って、それはちょうど秋口に入る頃。

なので、8月の終わりから9月にかけても「カツオの旬」と言われます。

なんと、カツオの旬は一年に2回あるということなのですね。

そもそも旬とは、どうやって決まる?

一般的には、魚の旬というのは

「その魚が一番おいしい時期」

という意味だと言えます。

魚の場合、通常美味しいと考えられるのは一番脂が乗っている時期です。たいていの魚は、産卵する時期を迎える少し手前の時期が一番脂の乗りが良くなるので、その頃が旬とされる場合が多いです。

……しかし、それとは別に、一年の中で、その時期でないとほとんど漁獲されないというような魚の場合は、毎年その魚が市場に出回り始める時期が旬となります

カツオが一番おいしい時期は?

鰹について言えば、実は脂の乗りで言えば秋口から出回る「戻りガツオ」のほうが断然良いです。これと比べると「初ガツオ」のほうは、ほとんど脂がないです。

でも両方がカツオの旬とされています。

ちなみに、

「目には青葉 山ほととぎす 初かつお」

という俳句もあるように、昔はカツオと言えば春、という認識だったようですね。

そもそも江戸時代くらいまでは魚の脂のある部分は猫も食べない「猫またぎ」などと言われ、食べずに捨てられていたらしいです。超もったいね~。

今なら大トロや中トロのほうが有難い感じがしますが、マグロも赤身の部分だけが使われていました。その感覚で言えば、カツオもやはり「初ガツオ」のほうが脂質が少なく、一番おいしい時期と認識されていたとしても不思議ではありません。

確かにそう言われてみれば、初ガツオはさっぱりして清々しく、カツオらしい風味が楽しめます。まさに春の味覚に相応しいと言えるかもしれません。

現代でも、

「うん、やっぱりカツオは春ガツオに限る!」

……とか唸っている寿司通のおじさんに出会うことはあるかもしれません。

まあ私はどっちが旬でも構わないし、どちらも好きです。

むしろ、年に2回も旬を味わえるなんて、喜ばしい限りですね。