メタボ解消の第一目的は、あなたの命です

最近、周囲の人から「メタボ」と呼ばれるようになってきた……何とか解消する方法はないかなあ。

……と思っている中高年のみなさんへ。

メタボを解消する目的は「お腹を目立たなくすること」じゃありません。

あなたの生命を守ることです。

そもそも、メタボリックシンドロームというのは、肥満かどうかを判定するものではありません。

もちろん、肥満とも深い関係があるのは確かなのですが……しかし、そもそもメタボリックシンドロームという概念が登場した背景には、いわゆる生活習慣病が主原因となる、脳卒中や重大な心臓疾患を防ごうとする意図があります。

つまり、メタボリックシンドロームというのは単なる

「太りすぎ」

のことを言っているのではなく、

「死に至るような重大な疾患に早期に陥る可能性が高い状態」

のことなのだと認識する必要があります。

日本人の死因

平成27年時点での日本人の死因の統計を見ると、

第1位 がん……約37万人

第2位 心疾患……約20万人

第3位 肺炎……約12万人

第4位 脳血管疾患……約11万人

第5位 老衰……約8万人

となっています。

ちなみに、長期的な推移をざっくり見ると、がんは一貫してダントツで1位で、しかも人数も増加し続けています。

肺炎は昭和22年からいったん減少したものの、昭和48年以降は継続して増加、平成23年に脳血管疾患を若干超えて第3位となっています。ただし、肺炎については高齢化が進んだことが背景として挙げられます。肺炎で亡くなる人の95%が65歳以上の高齢者です。

もちろん、統計の取りかたや人口構成の変化などによってある程度の影響が出るでしょうが、いずれにしろはっきり言えることは、日本人の死因はずっとこの4つの疾患が大部分を占めていることです。

そして、メタボリックシンドロームはこれら上位を占める疾患と深い関係があります。というか、そもそもこれらの疾患を未然に防ぐ目的で作られた概念と言えます。

主な着眼点は動脈硬化の阻止

メタボリックシンドロームの診断には腹囲(お腹周りの長さ)が用いられますが、それは腹囲が内臓脂肪の蓄積の度合いを表すと考えられるからです。

「内臓脂肪型肥満」は内臓に脂肪が過剰に蓄積している状態であり、まず脂質異常症に直結します。

また、腹部の脂肪細胞が肥大化すると、血糖値をコントロールする「インスリン」に対する抵抗が付きやすくなり、結果として血糖値が上昇することになり糖尿病につながります。また、インスリン抵抗性が付いてしまうと善玉コレステロールと呼ばれているHDL-C値も低下します。

脂質異常症と糖尿病はいずれも心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの重大な病気のリスクを高める因子ですが、これがひとりの人に重複して起こると(そして内臓脂肪型肥満も同時にあればさらに)そのリスクは飛躍的に高まってしまうのです。

つまり、早期にこのような危険な状況になると予想されること、あるいは、すでに危険な状況に陥っていること……それがメタボリックシンドロームという状態なのです。

目標は動脈硬化の急激な進行を阻止すること

心筋梗塞、狭心症などの心疾患や、脳卒中などの脳血管疾患は、いずれも動脈硬化によって引き起こされる可能性がきわめて高い病気です。

ですから、言い換えるならばメタボリックシンドロームとは、動脈硬化がすごいスピードで進行してしまう状態と表現することもできます。

メタボリックシンドロームの治療は基本的に食事療法、運動療法、生活習慣の改善になりますが、すでに症状が重い場合や、これらの両方だけでは改善が見られない場合になると手術が行われることもあります。