メタボリックシンドローム診断基準の変更で私たちは?

メタボ(メタボリックシンドローム)って、お腹が出てるおじさんのこと……ではありません。けど、半分は正解です。

よく聞く言葉ですが、正確にはどうなったらメタボリックシンドロームなのか、意外に知りませんよね?

メタボリックシンドロームという言葉は一般にもかなり浸透しており、現在のところ、2005年に発表された基準によって診断されています。

しかし、診断基準については専門家の間でもさまざまな意見があり、それを踏まえて2018年を目途に変更される予定です。

この診断基準がどうして重要かというと、それは一言で言うと

「特定検診」……40歳以上の方の生活習慣病の予防を主眼とする検診

の基準となるからです。

この特定検診でメタボリックシンドロームと判定されることによって、次に

「特定保健指導」……管理栄養士などを含めた専門スタッフによる生活習慣の改善サポート

を受けることができる対象者になるからです。

メタボの診断基準 1

メタボというと中高年男性、つまり「おじさん」というイメージが定着しているかもしれませんが、もちろん女性も当てはまる可能性はあります。

内蔵脂肪の蓄積は男性ホルモンによって促進されやすいので基本的には男性の発症率が高くなります。しかし、女性も年齢が高くなると女性ホルモンが減って男性ホルモンが多くなってくるため、より注意が必要です。

現状、メタボリックシンドロームの診断基準は、第一に

「腹囲が基準値を超えている」

ことになります。

一般に肥満といった場合には内臓脂肪型と皮下脂肪型に分けられますが、メタボリックシンドロームという場合には

「内臓脂肪型肥満」

が問題になります。腹囲は内臓脂肪の量と相関性がありますので、

基準値は

男性 85cm超

女性 90cm超

です。

ところが、現在議論されている新たな基準の策定については、腹囲が基準未満の場合でも心血管疾患リスクが高いと見られる患者さんをメタボリックシンドロームに含めるかどうかが主な争点となっているようです。

つまり、この診断基準の範囲によって、あなたが特定保健指導の対象となるかどうかが決まってくるわけです。

ちなみに、メタボリックシンドロームというとすぐに肥満症を連想しますよね?

実際、肥満症の人は同時にメタボリックシンドロームである確率は高いです。

しかし、実際の診断基準は異なっています。

他の疾患や数値の基準もありますが、大きな違いのひとつは、肥満症の定義に使われるのはBMI(体格指数)というもので、身長と体重をもとに計算されることです。

BMI= 体重/ (身長の2乗)

この値が25以上になると肥満と診断されます(子供は別)。

しかし、メタボリックシンドロームについては、腹囲(単純なお腹の出具合と言ってもいいでしょう)が診断基準になります。

メタボの診断基準 2

もうひとつの条件は、次の3つの生活習慣病に関する基準のうち、2つが当てはまってしまっていることです。

「高血糖」……110mg/dl以上

「高血圧」……上130mmHg以上 下85mmHg以上 (どちらか一方でも)

「脂質異常」……GT 150mg/dl以上 HDL-C 40mg/dl未満 (どちらか一方でも)

上記の診断基準の両方を満たすと、メタボリックシンドロームということになります。

そもそも、肥満とは体に過剰に脂肪がついているということです。肥満はそれ自体が動脈硬化の危険因子なのですが、同時に肥満の人は

・高カロリーの食事習慣が常態化している

・インスリン抵抗性が高い

・その結果、血糖値が上昇しやすい

・HDL-C(善玉コレステロール)が不足しやすい

といった傾向があることから、高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)といった他の生活習慣病にもなりやすい状態と考えられており、これらが同時に発生することは動脈硬化を急激に進行します。よって心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患につながる危険性がきわめて大きいと言われます。

単なる見た目の問題ではないのです。

厳密な判定よりも、私たちにとって大切なこと

初めにお伝えしたように、メタボリックシンドロームの診断基準は今でも様々な議論があります。

しかし、私たちにとっては実は細かい数値が基準の範囲に入っているかどうか、というようなことはあまり重要ではないでしょう。

実際のところ、肥満にしろ、血糖値や血圧にしろ、あるいはコレステロール値も運動の量も……基準というのは私たちにとっては目安にすぎません。

ちょっと超えているというのと、ぎりぎりまだ超えていないということの差は、診断したり指導や診療をしてくれる側にとって大事なことなのです。

しかし、それは私たちにとってはほとんど同じ意味でしょう。

私たちにとって主要な問題は、自分の体を守ること。動脈硬化を止めて、健康になること。

そのためにドクターや専門家の方々が、日夜研究や議論をしてくれているわけです。