脂質・ビタミン・DHA……魚(魚貝類)の分類と栄養のまとめ

私は多少なりとも健康に留意するようになって、あらためて知るに……私の大好きな魚って、ただ美味しいだけでなく本当に「海の幸」と呼ぶにふさわしい、栄養の宝庫のような存在だったんだなあと実感しました。

ここでいったん、魚の栄養についておさらいしておこうと思います。

……とその前に、まず魚そのものについておさらいします。

魚介類(魚貝類)の種類分け

当然ですが、水産物、あるいは海の幸と言ったら「魚類」だけではありません。

魚介類という場合の「介」という字は、本来は「甲羅のある動物」を指し、貝やエビ、【蟹】のほか、亀も含まれることになるそうですが、今では単に水産物全般、いわゆる「シーフード」とほとんど同じ意味で使われます。

ちなみに、鰻(ウナギ)や穴子(アナゴ)もれっきとした魚の一種です。

ところで、ときどき魚介類じゃなくて「魚貝類」と書いてあるのを見ることもありますが、これだと「魚と貝」だけを指すと言えなくもないですが、でも一般的には魚介類と書いた場合と同じように扱われることが多いですね。

また、日本人は特に、魚卵が大好きです。たとえば筋子やイクラは鮭や鱒のたまごですが、日本ではそれはそれでひとつの食品と見做されていますよね?

魚卵は魚そのものとは異なる、それぞれ特有の栄養価を持っているものが少なくありません。

魚の分類、基礎知識

生物としての「魚類」は、かなり多くの種目に細分化され亜種も多く、学問的にはかなり複雑な分類があります。

でも、そんなことは今関係ない……あくまで魚を「食べ物」として見た場合の一般的な分類としては、まず身の色によって「赤身」「白身」「青魚(ヒカリモノ)」

の3つに分けると思います。

① 赤身の魚

赤身の魚は身がしっかりしていて魚らしい味。加熱すると固くなる傾向があります。栄養的には鉄分を多く含みます。

身が赤い理由は「ミオグロビン」あるいは「ヘモグロビン」という成分によるもので、この成分の含有量によって赤身か白身かに分類されます。

鰤(ブリ)

鰤は一見して血合い部分を除くと身が白っぽく見えるので白身魚かと思いきや、「ミオグロビン」あるいは「ヘモグロビン」の含有量で区別すると赤身の魚になります。カジキマグロも同様です。

② 白身の魚

白身の魚は比較的淡白な味で生だとコリコリ感があるものが多い。加熱すると身がほぐれやすくなり、ホクホクした感じで美味。栄養としては概ねカロリーが低めで高タンパク。特にコラーゲンを多く含みます。

鮭(サケ)

鮭は身の色からすると赤身の魚と思われがちですが、実は白身に分類されます。なぜかというと鮭の赤身の成分は「アスタキサンチン(エビやカニと同じ色素成分)」のためであって「ミオグロビン」や「ヘモグロビン」ではないからです。

③ 青魚(ヒカリモノ)

一般にヒカリモノとも言われる「青魚」ですが、これは身の色ではなくて背中(皮)の色によって慣習的に呼ばれているものであって、実は、たとえば青魚の代表格である鯖(サバ)、鯵(アジ)、鰯(イワシ)などはみな「赤身」に分類されます。

栄養的には、不飽和脂肪酸の比率がきわめて高いのが特徴で、特にエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を含むオメガ3-脂肪酸が注目されます。

鮪(マグロ)、鰹(カツオ)

マグロもカツオも実はサバ科の魚で、見た目で言っても青魚と言えなくもないですが、慣習的には除外されます。

④ 淡水魚

上記の分類とは別に、河川や湖沼など内陸の淡水の中に生息する魚を淡水魚と呼び、主に海にいる「海水魚」と区別されます。また、河口などの海水と淡水の混じり合う場所を好んで生活する魚は「汽水魚」と言います。

ただ、実際にはどちらでも生きられる魚もいたりして、この区別は厳密なものではありません。

淡水魚はそれぞれに独特の香りや味わいがあり、ファンも多いですが、最近は工業開発や自然破壊などの影響もあり、なかなかお目にかかれない貴重な種も少なくありません。

鮎(アユ)
岩魚(イワナ)
鯉(コイ)
鰻(ウナギ)

魚の名前について

分類もそうですが、一般には魚の名称は、生物学で決められた正式の学名よりも慣習的に広まっている名前を使うほうが多いですよね?

それにしても、魚の名前って、回転寿司のメニュー程度のごく常識的な範囲だったらだいたい分かるけれども、たとえば「鮪(マグロ)」というのは分かるけど、マグロの中にもまたクロマグロ、インドマグロ、メバチ、キハダにビンナガ……と、いろいろ種類があります。

私も魚料理は好きな方ですが、それでも名前は聞いたことがあっても実際に切り身や料理された姿を見てはっきり区別できるかと言えば、自信がないもののほうが圧倒的に多いです。たぶん、釣りが趣味の人とか漁師さん、あるいはかなりの食通じゃないと、それほど詳しく知らないでしょう。

しかも、たとえば鰤が代表的ですが成長過程で呼び名が変わる「出世魚」もいます。さらには、魚の呼び方は日本各地で異なるので、名前だけ聞いても同じ魚だと分からなかったりしますよね?

……というわけで、これだけはもう一つひとつ見たり聞いたり、食べたりして覚えていくしかないでしょう。また、それが魚を食す楽しみのひとつであったりもします。

以上、魚に関するごく基礎的な知識を踏まえて、魚の栄養について振り返ってみましょう。

魚の栄養① たんぱく質

まず、肉と魚は人間にとって主要なタンパク源です。

そして、もしかするとイメージとしては肉のほうがたんぱく質のかたまりのようにも思えますが、実は魚に含まれるたんぱく質は量、バランス共に肉類と同等、種類によってはそれ以上に豊富なものもあります。

【たんぱく質の豊富な魚ランキング】

また、魚に含まれるたんぱく質のほうが肉類より消化されやすく吸収率が良いとされており、特に刺身など生食での消化吸収は抜群です。

魚の栄養② 脂質

脂質とは要するに「脂肪」のことで、たんぱく質と同様人間にとって不可欠な栄養なのでまったく摂らないというわけにはいきません。

しかし、現代の日本の食糧事情から見た場合、また特に生活習慣病を気にする人の立場で見ると、脂質というのは「コレステロール」を発生させ、動脈硬化を促進する避けるべき悪者……というイメージが強いです。

そこで、あらためてまとめると……基本的に、現代人の食生活は

「畜肉(牛肉・豚肉・鶏肉)に偏りがち」
「炭水化物、糖類が過剰になりがち」

という傾向にあります。

その前提では、脂質はなるべく魚から摂取するというのは食生活の改善につながることになります。

魚の脂質に関して最も重要な点は、畜肉などに含まれる脂質が「飽和脂肪酸」であるのに対して、魚に含まれる脂質は「不飽和脂肪酸」であるということです。中でも特にDHAとEPAが注目されますが、これらも不飽和脂肪酸の一種です。

これら不飽和脂肪酸が体内でいわゆる「善玉コレステロール」として血流や細胞に残った余分なコレステロールを回収して体外へ排除する機能が確認されているからです。

【魚の油ってコレステロールにならないの?】

ただ同時に、そうは言っても、魚の脂質もそもそも脂質であることに変わりはないので全体としては体内のコレステロール量を増加することになるのは間違いないという点も見落としてはいけません。

ですから、肉、魚、それ以外の食品も含めて、全体として脂質の摂取を抑制することを忘れてしまっては本末転倒です。

脂質については、以上の2点が非常に重要になります。つまり、

① 畜肉に偏り過ぎず魚も食事に取り入れること
② 全体としては脂質過剰にならないよう、食べ過ぎに注意する

ということになります。

【脂質の豊富な魚介類のランキング】

魚の栄養③ ビタミン

次は「ビタミン」に関してですが、もちろん常識的に考えても、ビタミンと言えば最初に思いつくのは

「野菜・果実」

ですよね?

ところが、実は野菜よりも魚のほうに豊富に含まれているビタミンも存在するのです。

その代表的なものはビタミンA、ビタミンB3、B5、B12(貝類に特に多い)、それにビタミンEです。

【ビタミン不足を解消する食べ物と、食事習慣】

魚の栄養④ ミネラル(無機質)

一般的に「ミネラル」と言われているのは、人間の体内に取り入れられる元素のうち、炭素・水素・窒素・酸素の4つを除いたものを指します。無機質あるいは灰分(かいぶん)と呼ぶこともあります。

ちなみに、炭素・水素・窒素・酸素はタンパク質や脂質、炭水化物などを構成する有機化合物を作るものであるため主要4元素として区別されています。人体を構成する元素のうち、96%を炭素・水素・窒素・酸素の主要4元素が占めます。

その他の元素、つまりミネラルというのは人体の構成比で言えば全体の4%に過ぎません。

そして、ミネラルのうち、栄養学的に人間にとって不可欠であることが実証されている元素を

「必須ミネラル」

と言います。

必須ミネラルは現在16種類が定められていますが、これは16種類はすでに必要性が実証されているという意味であって、他の元素は無意味だと確定しているわけでもありません。

「必須ミネラル=カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リン、鉄、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素、フッ素、クロム、コバルト、モリブデン」

です。

必須ミネラルは、量的にはごく微量あれば十分なわけですが、しかし現代人はこれら必須ミネラルの不足が顕著で、それが生活習慣病など多くの問題を引き起こす要因の一つになっていると考えられており、

「すべての病気を追求すると必ずミネラル欠乏に辿り着く」

とさえ言われているのです。

……と言っても、一般にカリウム、ナトリウム、リン、そしてモリブデンという微量元素については、ふつうは不足する心配は要りません。むしろ昨今はナトリウムの摂り過ぎが高血圧など生活習慣病の一因と見られています。

他にも、必須ミネラルの多くは、必要以上に摂取すると弊害が起こるものがあります。

普通の食生活において過剰になることはあまり考えられませんが、むやみに偏食したり、サプリメントを過剰に飲んだりするのはいけません。

その上で、現代食において不足が指摘されるミネラルのうち、魚介類を積極的に摂ることで不足を解消できそうなものを挙げます。

① カルシウム……小魚、あるいは骨を含む魚や桜エビ
② 鉄……鰹(カツオ)など赤身魚
③ 銅……ホタルイカ
④ セレン……クロマグロ、あん肝、タラコ
⑤ クロム……鯖(サバ)

これ以外に、たとえば海苔とか昆布、わかめ等の海藻類には多種のミネラルが豊富に含まれます。特に、昨今話題になることの多い「ヨウ素」に関しては昆布などはダントツに高い含有量を誇ります。