脂質異常症の診断基準と、それが意味するもの

2007年の改定で、高脂血症という名称は変更されて

「脂質異常症」

となりました。それとともに診断基準も変更されました。

理由は、全体として言えばコレステロール値は高すぎることが問題なのですが、近年になっていわゆる

「善玉コレステロール」

の働きなどが明らかになって、善玉コレステロールについてはむしろ少ないことが問題になるわけですから、従来のように単に

「総コレステロール値」

だけを診療の基準にして高脂血症と呼ぶことが適切ではないからです。

脂質とは

脂質異常……と言いますが、そもそも、脂質って何?

となると意外に難しくて、余計にわけが分からなくなる怖れがあるので、

(っていうか私自身がわけ分からなかったので……)

健康に関係ある範囲に限定して整理することにします。

すると、まず脂質というのは一般的に言えば、栄養です。

「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」

というと三大栄養素と呼ばれています。

……要するに、基本的には必要なもの、ということですね。

脂質の種類

それで、健康に関して考えるならば、問題はその脂質の種類と量ということになります。

脂質は、その形(分子のくっ付きかた)によって大きく3つに分けられています。そして、ざっくり分けるとそれぞれに下のような役割を持っています。

単純脂質……エネルギー、余れば体脂肪

複合脂質……細胞膜の構成、脳や神経の伝達物質

誘導脂質……細胞膜の構成のほか、ホルモンやビタミンの他、さまざまな生理的な機能に関わる

となります。

一般的によく耳にするものだけを挙げます。たとえば

「中性脂肪」

というのは体に蓄えられた脂質のことで、形としては単純脂質で、中性というくらいですから分子の形が安定しています。体脂肪のほとんどはこれです。

また、私たちが食べている肉や魚などに含まれている脂質も、もともとその動物などが蓄えた脂肪なのですが、食品に含まれる脂質は体内に取り込まれたときには、いったん

「脂肪酸」か「グリセリン」

という形になります。

この脂肪酸というのはさまざまな構造を持っていて、それぞれに体内での働きかたなどが異なるわけですが、大まかに分けると

「飽和脂肪酸」

「不飽和脂肪酸」

があります。これもよく聞く言葉ですよね?

飽和脂肪酸というのは動物の肉などに多く含まれています。いわゆる「ラード」のようなものを想像してください。ちなみに、「脂」という字を用いるのは、常温で固体になる脂肪を指すそうです。そしてこれは飽和脂肪酸ということになります。

もちろん肉には多く含まれています。あとはバターとか生クリームやチョコレートなどに多く使われています。要するに、あからさまに生活習慣病にとっては良くないイメージのものに入っています。

これに対して、不飽和脂肪酸は植物性の油や、魚に比較的多く含まれる脂肪酸で、常温で液体のもの、つまり「油」に多く含まれています。

不飽和脂肪酸は、さらにその構造によってさまざまな種類があって、それぞれについて体内での働きや健康への影響に関する活発な研究が行われています。

最近話題になったところでは

「トランス脂肪酸」

が体に良いとか悪いとか……?

たとえば

「リノール酸」

「オレイン酸」

というのは健康番組やCMなどで聞いたことがあるかもしれませんが、かつては血液中のコレステロールを適正化する働きがあると注目されたトランス脂肪酸の種類です。

ところが、トランス脂肪酸というのはあえて食品から摂取する必要はないという説もあったりします。

また、むしろ撮り過ぎた場合の悪影響を懸念する説も発表され、マーガリンが健康に悪いというような話題が取り沙汰されたこともあります。マーガリンの主原料である植物性の油の中にトランス脂肪酸が多く含まれているからです。

じゃあコレステロールって何?

脂質との関連で、最も気になるものと言えばやはり

「コレステロール」

ですよね?

そして、よく

「善玉コレステロール」

「悪玉コレステロール」

というのも聞きますよね?

基本的には悪玉コレステロールを含む食品を控えて、善玉コレステロールを含む食品を意識的に多く取るのが健康のためには良いと言われますが、それはなぜでしょう?

コレステロールというのは脂質がタンパク質と結合して特殊な構造に変形しているものです。分類としては誘導脂質になります。

脂質は基本的に水に溶けないものですが、コレステロールの形になることによって血液に溶け込んで体内を循環することができます。

そして、コレステロールそのものは主に細胞膜を保護するものとして取り入れられます。

しかし、コレステロールにもまたいろいろな形のものがあって、タンパク質との結合のしかたによって分類されます。

その中でも、いわゆる善玉コレステロールというのはHDL-Cという形をしており、なぜ善玉と呼ばれているかというと、それは血中および血管壁内に存在するコレステロールと結合して肝臓に運ぶ機能があるからです。

逆に、悪玉コレステロールはLDL-Cという構造になっていて、肝臓で作られたコレステロールを全身に放つ役割を持っています。この機能そのものは肉体の維持に不可欠なものなのですが、これが必要以上に増えることが問題視されているわけです。

血液中にLDL-Cが過剰になればなるほど血管壁に傷が付きやすくなります。しかもそれは壁内に入り込んで酸化します。これがいわゆる「プラーク」というしこりのようなものを形成することになります。つまり動脈硬化です。

大まかには、LDL-C値/HDL-C値=2.5以上になると動脈硬化が疑われるとされています。

脂質異常症の診断基準

脂質異常症は、2007年の改定基準によると

「高LDLコレステロール血症」……LDL-C 140mg/dl以上

「低HDLコレステロール血症」……HDL-C 40mg/dl未満

「高トリグリセライド血症」……TG(中性脂肪) 150mg/dl以上

に分けることができます。

この3つを合わせて脂質異常症と呼ぶことになります。

(※ 数値はいずれも空腹時の血液中の濃度。実際には数値以外の診断基準もあります)

ちなみに、中性脂肪(トリグリセリド)の基準値は50~149mg/dLで、150を超えるともちろん脂質異常症になりますが、逆に少なすぎる場合にも、そもそも必要な栄養が不足しすぎているということなので問題です。

また、脂質異常症は原因によって分類されます。

「生活習慣に起因する脂質異常症」……脂質異常症のうち、およそ8割

「原発性高脂血症」……遺伝、体質によるもので生活習慣によらない

「続発性高脂血症」……他の病気や投薬の結果起こる