睡眠不足は高血圧に意外な影響【改善点は食事だけではない】

高血圧など生活習慣病の話というと、すぐに塩分や食事のことを思い浮かべますよね?

もちろん食事の習慣は、ひとつの大きな要因であることは間違いないでしょう。

しかし、それ以外の面は大きな影響はないのでしょうか?

高血圧によい生活習慣。食事制限だけではもったいない

たとえば、せっかく厳しい食事制限を守っていながら、一方で他の生活習慣が改善されないまま過ごしているために効果が薄れていたらせっかくの我慢が水の泡ですよね?

それはもったいないです。

逆に、他の面で効果のある改善ができるなら、薬飲まなくていいかもしれないし、食事制限も少しは緩和できるかもしれません。

そもそも、少なくともイメージとして、そもそも食事が制限された生活を続けるだけと考えると何となく陰鬱で寂しい感じが否めません。

どうせやるなら、もっと積極的に自分なりの生活スタイルを作りたいと思いませんか?

たとえば

「適度で十分な睡眠」

は健康に良いイメージがありますが、高血圧の改善にも役に立つのではないでしょうか?

単純に睡眠時間も必要でしょうけれども、睡眠の質の問題もありますよね。

睡眠がもたらす高血圧への影響

やはり、睡眠時間が少ないほど高血圧になる確率は高くなるというのは確かなようです。

ある調査によると、睡眠時間が6時間の人たちと、5時間の人たちの血圧の変化を比較したところ、5時間睡眠の人たちは高血圧になっている確率が37%も高かったそうです。

また、睡眠時間もそうですが、それよりもむしろ睡眠の質の良し悪しが高血圧のリスクにより深い相関性があるとしています。

特に、睡眠時無呼吸症候群などの明らかな睡眠障害を持つ人の場合、高血圧のリスクはかなり高まります。

自律神経を自然なリズムに戻す

血圧というのは、もちろん時間帯によっても変動します。

夜眠っている間は血圧も日中活動している時と比べて2割程度下がります。その分、心臓の負担も、血管への血流による負荷も少なくて済みます。

しかし、睡眠不足だとその分常に余計に負荷がかかることにあります。

あるいは睡眠障害があった場合には眠っていたとしても交感神経優位の状態のままになってしまい、負荷が軽減されません。

自律神経というのは2つの系で成り立っており、交感神経とは、人間が行動するときや、精神的に緊張したときに働く系統です。交感神経が優位の場合には、活動に備えているわけですから行動に直結する主要な部分に血流を集中させ、より活発に働かせようとします。血管は基本的に収縮します。

副交感神経とは、安静にしているとき、あるいは眠っているときに働く自律神経です。

副交感神経が優位の時には、心拍数は少なくなり、血管も緩んで広がります。実はこの時、血流は体のすみずみまでゆったりと行き渡りつつ酸素や栄養を運び、筋肉などの細胞の修復などを進めるとともに、体の末端まで体温を届かせて組織の収縮や疲労をリセットします。

交感神経が優位のときには副交感神経は休んでいます。副交感神経が優位になるときには交感神経が休んでいます。この2つはいわば波のように定期的に交替しながら生体を維持しているのです。

睡眠時間が十分に取れない場合、あるいは睡眠障害があったり、睡眠時の環境が適切でなかったりすると、交感神経が優位になっている時間が極端に増えてしまいます。

要するに休む暇がないわけですね。

その結果、心臓や血管への負荷も常に大きくなってしまいます。

しかも、睡眠時に血圧が高く維持されていると、今度は自分が朝起きた時には体は活動を開始するために準備を始めますから、より血圧が上がってしまいます。

つまり睡眠時に副交感神経が優位になり、血圧が十分に下がっていないと起きた時にはそこからさらに血圧が上がることが習慣になり、高血圧の状態が維持されてしまうわけです。

体内リズムを意識してみよう

このような、血圧の上昇を引き起こす悪循環を断ち切るには、交感神経と副交感神経の自然な入れ替わりを促すような生活パターンや環境を意識的に作り出す必要があります。

たとえば、夜寝る前に夜食を取ったりすると内蔵は活動しなければならないので交感神経優位になります。たとえその後すぐに寝たとしても、副交感神経が優位になるまでに長い時間がかかってしまうことになるでしょう。

就寝時にスマホの動画を見たりするのもあまりよくありません。

当たり前ですが、寝る場所も重要です。部屋は薄暗くして、ゆったりと体を自然に伸ばして寝ることです。

副交感神経優位の状態を作るようにするには、特に何もせずリラックスすればいいわけです。そしてそのまま眠りに落ちるというのが理想的なわけです。

逆に、朝には自然な形で交感神経への切り替えが行われるのが有効なわけですから、たとえば起床時に音楽を聴くといった習慣は良いです。

また、光を浴びるのも良いです。部屋の蛍光灯などでも効果はありますが、環境が許すならば、朝方起床する時間になったら自然に日光が差し込むように部屋の配置や寝る場所を選ぶと理想的です。

家族のいる人なら、朝は特に積極的に声をかけたり、話をするように心がけると良いでしょう。近所の人に挨拶を欠かさないようにするとか。相手とコミュニケーションを取ろうとすることで交感神経は適度な緊張状態に入ります。

ただし、ぎりぎりまで寝ていて急に飛び起きて学校や会社に急ぐ、とか起きぬけにいきなり激しい運動をするというのは血圧の急激な上昇を発生させることになるため、この面から言うとおすすめできません。

いずれにしろ、快適な朝の時間を過ごすことが、自然な自律神経の交代を促すことになります。

日中に十分な活動を

夜になっても眠くならない。

寝床に入ってもなかなか寝付けない。

……という人もいると思います。

それで、テレビやスマホを見続けたり、夜食を食べたりすることが習慣になってしまうことがあります。

もちろん不眠症や睡眠障害のような場合には、治療や投薬が必要になる場合があります。

でも、単に習慣として理想的な睡眠を妨げる行為をしてしまう理由のひとつとしては、逆に

「日中に交感神経が十分に働いていなかった」

ということが考えられます。

運動不足も高血圧の原因と言われていますが、たとえば日中の活動量や、運動が足りな過ぎることによって交感神経を十分に働かせることがないまま夜を迎えると、副交感神経への自然な切り変わりも難しくなるでしょう。

睡眠の環境を整えるという意味では、日中の過ごし方も同時に意識しなければなりませんよね。