食品中に含まれるたんぱく質の種類と働き方

蛋白質(たんぱくしつ)は、食事などからとるべき主要な栄養素であるとともに、人間の体を構成する成分のうち、水分についで多量に必要な成分です。

【人体の構成成分の15%前後がタンパク質】

タンパク質は、自然界では生き物(動物や植物)によらなければ作られることはありません。

また、構造としてはタンパク質というのは、多種多様な

「アミノ酸」

がたくさん結び付いてできています。タンパク質というのは単純なひとつの物質の名前というよりも、

① たんぱく質を構成するアミノ酸の種類
② そのアミノ酸の結びつき方

から多くのバリエーションが存在する、それらの総称と言うことができます。

【タンパク質を構成する22種類のアミノ酸について】

要するに栄養としてのタンパク質の種類や働き方は、そこに含まれるアミノ酸の種類とバランスによるところが大きいのですが、アミノ酸の話はいったん置いて、タンパク質の分類を見ていきましょう。

動物性タンパク質

食事から得られる栄養としてのタンパク質は、まず「動物性タンパク質」「植物性タンパク質」に分類できます。

動物性タンパク質というのは、もちろんその名の通り動物、つまり肉や魚などから摂取するタンパク質のことです。

動物性たんぱく質と言えば、もちろんすぐに思いつくのは牛肉、豚肉、鶏肉といった

① 畜肉類

でしょう。典型的なイメージとしては肉の赤身の部分、つまり動物の筋肉の部分がタンパク質のかたまりのように見えますよね。

他にはもちろん

② 魚
③ 牛乳や乳製品(バター、チーズなど)
④ 卵(鶏卵など)

があります。また、

⑤ 食べれる昆虫(イナゴやハチなど)

も人間にとってのたんぱく源に含まれます。

動物性たんぱく質の最大の特徴は、そのほとんどがすべての必須アミノ酸を同時にバランスよく含んでいることです。それは体内で必要なたんぱく質の効率的な組成に直結します。よって筋肉や細胞の修復や回復の効果を早く得られやすいと言えます。

植物性タンパク質

実際には植物を含めてすべての生物がタンパク質を持っています。というか、そもそもタンパク質というのは生物の体を作る主要な素材ですから、野菜、果実であれ穀物であれタンパク質を含む食材は多くあります。

また、植物性タンパク質は抽出や加工が容易なため、市販の多くの加工食品(ハム、ソーセージやかまぼこ、あるいは冷凍総菜など)にも使用されているので、見た目には植物性と思えないような商品でも植物性タンパク質が添加されているものが多く存在します。

とは言え、ある程度まとまった量のタンパク質を意識的に摂取したいと考えるならば、植物性のタンパク質の代表的なものとしてはやはり

① 大豆などの豆類

が挙げられます。また、

② 小麦などの穀物類

にも比較的多く含まれているものがあります。

植物性のタンパク質の特徴は、脂質をあまり含まないので全体のカロリーを抑制しながらタンパク質だけを多く摂取できる点です。

ただし、植物性タンパク質は多くの場合、そこに含まれるアミノ酸のバランスに偏りがあるため、それのみでは栄養的に完結しにくい面があります。また、動物性タンパク質に比べて消化、吸収効率が悪いことが指摘できます(ただし、たとえばダイエットなどを意識する場合には、それが逆にメリットとも言えます)。

サプリメントなどに使われるタンパク質

以上のように、たんぱく質を含む食品は多く存在しますが、いわゆる「プロテイン」という商品として販売されているものや、その他の栄養補助食品、健康食品などに使用されるタンパク質は、抽出しやすく大量に生産可能なものでなければなりません。

そこで、それらの原料として使われるタンパク質には次のようなものがあります。

① ホエイ(乳清)……動物の乳から乳脂肪、乳固形分等の成分を取り除いた水溶液のことです。市販のヨーグルトの蓋を開けると上に少し水のようなものが溜まっていることがありますが、その液体がホエイ(乳清)です。

② ガゼイン……ガゼインは逆に乳から脂肪分とホエイを取り除いたもので、不溶性で固形化する部分です。ガゼインは生乳を構成するタンパク質の約80%を占めます。

α-casein(アルファ カゼイン)
β-casein(ベータ カゼイン)
κ-casein(カッパー カゼイン)

の3形態があり、乳でも動物によって含有率が異なります。たとえば人の乳(母乳)や山羊乳にはα-caseinがほとんどありません。

③ ソイ(大豆たんぱく)……大豆のタンパク質部分だけを抽出したもの。
④ 卵白……タンパク質の含有率を比較すると卵黄のほうが多いのですが、卵白はタンパク質と水分以外の成分をほとんど持たないので加工が容易です。

タンパク質の体内での働き

タンパク質は「筋肉を作る」ための栄養というイメージがあります。もちろんそれも主要な働きのひとつですが、たんぱく質はそれ以外にもたくさんの重要な役割を担っています。

タンパク質の働き① 収縮性タンパク質

筋肉は主に「ミオシン」と「アクチン」という2種類のタンパク質から成る筋原線維からできており、この2つが機能することによって収縮と弛緩が起こり、運動することができます。

タンパク質の働き② 構造タンパク質

筋肉以外の、体の各組織を形成するためのタンパク質です。 軟骨や皮膚を作る「コラーゲン」や、爪とか毛髪などを作る「ケラチン」などは化粧品などの有効成分としてよく知られていますが、これらもたんぱく質の一種です。

タンパク質の働き③ 貯蔵タンパク質

アミノ酸や鉄分などを分子内に取り込むことによって、体内で必要な栄養を貯蔵する役割を持つタンパク質です。

タンパク質の働き④ 輸送たんぱく質

血流にのって酸素を運ぶヘモグロビンや、脂質を運ぶアルブミンなど、栄養や特定の物質を体内に循環させたり、細胞へ運んだりするタンパク質です。

タンパク質の働き⑤ 酵素タンパク質

私は以前は、何となく「酵素」というのは腸内細菌とかいうのと同じように小さな生き物かなんかだと勝手にイメージを持っていたのですが……酵素もタンパク質の一種なのでした。食物は体内で消化、吸収、分配、代謝され、最終的には排泄されるわけですが、その過程で起こるそれぞれの化学反応に対して特定の酵素が触媒として関与します。

タンパク質の働き⑥ 防御タンパク質

免疫機能に関与するタンパク質です。免疫とは、基本的には体内に侵入してしまった異物を攻撃することを指します。異物を排除、解消する働きを持つ抗体(免疫グロブリン)は血液やリンパ液などに存在するタンパク質です。

タンパク質の働き⑦ 調節たんぱく質

遺伝子の発現に関与するタンパク質、他の複数のタンパク質の機能の制御を行うカルシウム結合タンパク質など。

タンパク質の必要摂取量と過剰摂取

タンパク質の摂取がどれくらい必要かという目安は、大ざっぱに言えば成人では

「1日最低50g程度」

と考えられます。

参考:日本人の食事摂取基準

これは現在の日本に限れば通常それほど難しい量ではありません。

ただ、偏食が過ぎる人や、無理なダイエット、また特定の健康情報を意識しすぎてあえて極端に摂取を控える人がいるかもしれません。また、高齢者になるほど食事の量が減り、日常食べる食品の種類も少なく偏ってしまう傾向があります。

タンパク質は体を作る基本的な成分ですから、不足したらもちろん多くの弊害が出ることは想像に難くありません。

筋力の衰えや体力の減退はもちろんですが、上記のようにタンパク質の働きはそれにとどまらず、不足すれば代謝や排泄、免疫などの機能や循環器系の不全、あるいは酵素の減少など様々な影響が予想されます。

とは言え、たいていの人にとってはむしろタンパク質の過剰摂取のほうが心配でしょう。ごく常識的に考えてもたんぱく質の過剰摂取は

① カロリーオバー
② 内臓疲労
③ 肥満

などにつながりやすいというのは容易に想像がつきます。

また、タンパク質の過剰摂取により発生率が上昇や悪化の可能性があると報告されている疾患として

① 糖尿病、心血管疾患
② 糖尿病性腎症、高窒素血症
② 心筋梗塞
③ 脳卒中
④ 骨の弱化
⑤ 尿道結石

など多くのものが挙げられています。また、食事などからとるエネルギー量の比率も問題で、たんぱく質のエネルギー比率が20%を超えてくると

① 糖尿病
② 心血管疾患
③ がん
④ 骨量の減少
⑤ BMI(ボディマス指数、肥満度を表す)の増加

が見られたという報告もあります。

ただし、上に挙げたものはいずれも現在のところ研究過程にあり、注意は必要ですが確定的な結論ではありません。そのため、国ではタンパク質摂取量の上限は今のところ特に定められていないのです。