糖尿病の人に必要な運動の時間と頻度

糖尿病と言われて、運動の時間や頻度などを気にする気持ちはとてもよく分かります。

でも、あえて言いますと、大原則は、

「運動は、いつやっても基本的に血糖値は下がる」

ということです。

これを忘れては元も子もありませんよ。

その上で、では実際のところ十分な効果が期待できる運動とは、どれくらいの程度をイメージすればよいのでしょうか?

運動をする時間帯は?

基本的には、食前よりは食後のほうが、瞬間的に血糖値を下げる効果が高いとされています。

通常、食事の後は最も血糖値が上がるタイミングなのですから、これは当然と言えば当然ですよね?

                                                           

しかし、食後3時間とか、あまり時間が空き過ぎると、

血糖値が下がり過ぎる

空腹を感じるため次の食事が増える

といった可能性もあります。

……っていうか、食後3時間というのは、もう次の食事の前と言ってるのとあまり変わらない気もしますが。

となると、

食後1時間くらいに軽い運動を入れることで血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できると言える。

しかし、長期的に見ると適切な運動量を定期的に確保することのほうが重要

考え方としてはこれが最も妥当と言えます。

もちろん専門の方にきちんとしたメニューを作ってもらうのが一番ですが、そもそもこれらは本人の環境や体質、血糖値の高さなどの複雑な要因が絡むので、そもそもデータ化しにくい面があり個人差もかなり大きいです。

ですから、メニューを作ってもらうにしろ自分でするしにろ、最初はあまり厳密に考えずまず初めてみる、そして実際に取り組んでいく中で体感的に最も適した方法を見つけてゆくつもりで継続するのが最も実践的ということになります。

基準となる目標心拍数

糖尿病の運動療法というと、一般的には

「中強度」

ということになります。

中強度というのは、正確には細かいデータ上の基準があるわけですが、これを自力で計測することはおそらく無理でしょう。

それで最もよく利用されるのが運動時の心拍数を目安に運動量や強度を調整することです。

つまり脈拍をとることです。

運動時の心拍数で目標となる目安を出すにはまず

(220-年齢)-ふだんの心拍数

という計算をすることで、あなたに見合った心拍数の上がり具合を求めます。

ただし、これは最大(強度100%)の時のことです。

糖尿病については運動強度が「中強度(40~70%)」とされています。ここではあまり難しく考えないで50%くらいと設定しておきます。先ほど計算した数値(運動時に上がる心拍数)の50%ですから2で割ります。

それに、ふだんの心拍数を足すと、運動を行った時の目標となる心拍数が出ます。

まとめると

目標となる心拍数=(220-年齢-ふだんの心拍数)÷2 +ふだんの心拍数

です。

……と言っても、結局のところ自分で測っていると当然日々の体調などによってばらつきがありますし、それほど厳密に考えても実際にはほとんど意味はありません。

そこで、ふつうは

50代くらいまでの方であれば、心拍数120くらい

60代以上になると心拍数100くらい

になるような運動を心がければ、だいたい適切というとらえ方でも問題はありません。

たとえば、私のようにふだんからまったく運動などしていない40代の人だとしたら、運動をしている最中に脈拍を測ってみて

心拍数が120を超えているようなら強度が過剰

120にぜんぜん足りていなければ、もう少し頑張ってよい

……という基準で十分ということになります。

頑張ろうと思わないこと

たいてい、中強度の運動という場合には、むしろ

「強度が上がり過ぎること」

に注意したほうが良いです。

特に、長い間全く運動していない人が始める場合、自分がもっと若い頃のイメージで運動すると必ずと言っていいほど過剰な強度になってしまいます。

あるいは、

「よし、運動すると決めたら絶対やるぞ」

というように意気込み過ぎて、頑張っちゃうとこれもたいてい過剰になります。

ここでは、運動の目的は

血糖値のコントロール

そもそも生活習慣の改善

にあります。

決して、

体力作り

筋肉をつけること

若い頃の勢いを取り戻すこと

などではありません。

……と言っても、実際には、男女問わず

「せっかく運動するんだから……かっこよくなりたい」

「美容にも効果を期待したい」

といった願望が同時に出てくると思います。

しかし、それは本末転倒になる可能性が高いです。

その場合には、このように考えることをおすすめします。

実際には、今までの生活習慣を適度に変えることができれば、それだけでも長期的に見れば絶対に今よりは

「カッコよくなれます」

「美容にも効果はあります」

これは心身ともにです。

想像してみてください。それほど強い運動ではなかったとしても続けることさえできれば結果的にはそうなるはずです。

それは、むしろ適切な強度の運動を、途中でやめないで長期間続けることでこそ実現するわけです。

そうですよね?

運動はどれくらいの時間続ければよいか?

目安としては、30分~1時間までが理想とされています。

あまり無理をするのもいけませんが、血中の血糖値を下げるという点で有意な効果が見られるのは、少なくとも10分以上運動を続けた場合の話です。

血液中の糖分をエネルギーに変えるという体内の活動が始まるまでに、最低でも5分~10分必要だからです。

と言っても、これはいわば、今ある糖分を消費したい、という観点のみから考えた場合の話です。

長期的には、身体機能全般の改善を図ることは結果的に血糖コントロールにも有効に働きます。

それに、糖尿病の結果起こる合併症の確率を下げ、動脈硬化の急激な進行を阻止することも含めて考えるならば、たとえ2分でも5分でも、生活の中に運動を取り入れることはプラスにこそなれ、決してマイナスにはなりません。

ですから、もちろんある程度の持続時間を確保できるに越したことはありませんが、まとまった時間が取れないからといって運動しないよりは、生活の中で少しの時間でも運動する習慣を作ることができるなら、それは今よりは格段に良いことと言えます。

運動の頻度について

データ的には、血糖値に影響を与えるには、運動の間隔を最大でも72時間以内にしないと効果が見られないそうです。

なので、一般的には

最低週3回

が目標ということになります。

しかし、実際に行うという状況を考えた場合ですね……。

私は、やはり原則として毎日するという「気持ちで」始めたほうが良いと思います。

なぜかというと、たとえば、ジョギングやウォーキングのような運動を始めた場合

天候が悪くて今日はできない

いつも運動をする時間に他の用事が入ってできなかった

という場合が発生するのは目に見えているからです。

あるいは、

今日は体調が思わしくない

仕事が続いて疲れている、早く休んだほうが良い

という場合もあり、このような時には、今日は運動すると決めた日だからといって無理に運動するのは体にとって逆によくありません。

つまり、

原則、できるときには毎日行う

ことを基本とし、しかし、その日一日何かの理由で運動できなかったからといって、それを必要以上に悔やんだり自分を責めたりしないことが重要です。

むしろ、

休むべき時にはきちんと休む勇気

が必要なのです。