ウニにミョウバンを添加する理由と毒性

ウニは鮮度が命です。

ですから、最も理想的なことを言えば、生きているウニをその場で割ってすぐに食べたら良いことになります。

しかし、一方でウニの身の出来具合は個体によって当たりはずれがかなり激しいという問題があります。

最近は、産地直送を謳っているウニ専門店もあり、ウニ好きの方は愛用しているかもしれません。私も数回試したことがあるのですが、味に慣れていないせいもあるのか……とびぬけてこれは美味しい! というウニに当たったことがありません。

私が知っている範囲では、結局はふつうに箱に入っているウニを明らかに上回るような美味しさのものって、お目にかかるのはかなり難しいように感じました。もちろん私はそこまでウニ通でもないので個人的な好き嫌いとしてですが。

ただ、よく安いウニは独特の臭みがあるから嫌いという人がいます。

確かに、乾き過ぎているものや保存の悪いものは美味しくないというのは分かりますけど……そうでなくてもウニが苦手という人は意外にいるみたいです。

なぜミョウバンを添加する必要があるのか?

ウニはいったん加工するとそのままではどんどん形が崩れてぐちゃぐちゃになってしまいます。形状を保つためにミョウバンを添加するわけです。

この、ミョウバンを毛嫌いしている人はけっこう少なくありません。

自宅で使用する場合、ミョウバンの味が苦手な方は、3%くらいの食塩水を作り、買ってきたウニを浸して冷蔵庫で冷やしておくとある程度ミョウバンが抜けます。しかし、型崩れしやすいので注意してください。

でも、お寿司屋さんなどで箱に入っているウニはふつう、可食部分(卵巣あるいは精巣)だけを取り出してミョウバン(明礬)水で洗浄した後、箱詰めされたものです。実は加工して箱詰めされたもののほうがあらかじめ選別されて品質が安定しているから扱いやすいのです。本当の生ウニは、割ってみないと品質が分かりませんから。

お店だと、ミョウバンを抜くようなことはまずしませんので、嫌いな方は無理に食べなくてもいいです。

ただ、ひとつ言えることは、そもそもの品質が落ちるウニほど、ミョウバンをたくさん使わないと流通することが困難だろうと予想できます。あるいは、他にアルコール等も添加されている場合もあります。

だから、もしかするとウニが嫌いになった人の中には、たまたま最初にそういうウニに当たっちゃっただけかもしれない……と考えることもでき、ある意味、もったいないなあと感じることがあります。

それなりに良いものを扱っているお店に行った時に、騙されたと思ってちょっと食べてみたら、ミョウバンを使っていたとしてもイメージが変わる可能性はあります。

あるいは、最近ですとネット通販でミョウバンを添加していない塩水保存のウニを直送してくれる業者もあります。試してみるのもいいかもしれません。

まあ、そこまでしてわざわざ苦手なウニを食べなくてもいいですがね。

ミョウバンの毒性

ミョウバンとは、比較的ありふれた食品添加物で市販されているものもあり、一般に家庭などでも煮物などに入れたりして使われてきました。

化学的には「硫酸アルミニウムカリウム」という物質で、近年問題視されているのはこれを摂取した場合に体内にアルミニウムが残留し、蓄積されることで人体に害があるのではないかという懸念です。

アルミニウムという物質そのものは自然界のいたるところに存在するもので、野菜などどんな食品にも土壌や食物連鎖から吸収されたアルミニウムが微量に含まれているはずで、過剰にならなければそんなに気にする必要もないようなものですが、動物実験ではアルミニウムを極端に多量に投与した場合の影響として

腎臓の機能低下

膀胱の異常

握力の低下

などが見られたという報告があります。

これらの結果を受けて厚生労働省が行った国民のアルミニウム摂取量の調査によれば、全体として基準値を超えるような摂取はほぼあり得ないと判断されていますが、小さなお子さんの場合には、食習慣がかなり偏っている場合には基準値を超える摂取が懸念される可能性が(小児のうち5%くらいの特に摂取量が多いと推定される層が対象)あると推定されました。

これは、アルミニウムの摂取上限値が体重当たりで換算されている(国際食品添加物専門家会議の暫定見解として平成23年にPTWI値は体重1kgにつき一週間当たり2mgという値に変更された)ので、比較的体重の少ない時期の小児が問題になりやすい点がひとつの理由として挙げられます。

そしてもう一つの理由は、ミョウバンがいわゆる菓子パンとか、焼き菓子、ケーキその他の菓子類の膨張剤(ベーキングパウダー等)として多く使用されていたからです。つまり、こういう食品を食べる機会が極端に多い子供たちの場合には、アルミニウム摂取量が基準値を超えてしまう可能性があるという懸念が指摘されているわけです。

……というわけで、先に言っておきますが、ふつうの大人が基準値を超えるほどウニだけを大量に食べるわけがないので、この面での懸念はほとんど意味がないでしょう。

厚生労働省による規制

日本には現在のところアルミニウムを含む食品添加物の使用基準がほとんどありません。

昔、味噌にミョウバンを添加するのが規制されましたが、それは事実上そのような加工法を続ける業者がほとんどいなくなったから

「じゃあ別にあえて使わなくてもいいじゃん」

という感じの規制です。

その他の食品についてはごく最近までまったく意識されてきませんでした。

どうして急にアルミニウム添加の問題が取り沙汰されるようになったかというと、それはむしろTTP協議で海外の規制基準を受け入れなければならない可能性が出てきて、調べてみたら、ちょっと懸念があるかも……という感じになったからです。

言ってみれば、藪をつついて蛇を出した形ですが、でも公式に規制する法律がないので、厚生労働省は各業界に対してアルミニウム含有添加物等の自主的な使用規制の取り組みを呼びかけることにしたと。

その結果、たとえば以前

「メロンパン」

にミョウバンが使用されている例が多いことが話題になったりしたことがあります。

話を元に戻しますけど、ウニにミョウバンが添加されているとしても、よほどのことがない限り、通常は上記の基準値に至るほどに食べ続けることはまずありません。

ウニの栄養

ところで、イメージとしてはウニはカロリーが高そう、あるいはプリン体がやたらと多いようなイメージがあり、中高年の方にとっては避けたくなる要素のほうが多いように感じているかもしれません。

しかし、ウニの食べれるところは卵巣と精巣で、精巣のほうがとろみがあって旨いとされています。この部分はまさに栄養の貯蔵庫みたいなもので、意外にもたんぱく質が中心です。脂質と炭水化物もありますがバランスがよくミネラルも多様です。

それに、プリン体の含有率は100gあたり137㎎程度。うーん、多いと言えば多い……と考えられなくもないですが、逆に言うと、特にプリン体が多い食品とも言えない微妙なところに位置しています。

ちなみに、高プリン体食品というのは軒並み300㎎以上のプリン体含有率を誇っています。それと比べると、イメージしていたよりは心配いらない食品ということになります。

ただし、プリン体はそれほど心配いらないとしても、前述の通りウニの可食部は卵巣及び精巣なので、それ自体が消化の過程で尿酸を多く発生させるという説もあります。

なので、痛風に直結する尿酸値を上げてしまうという意味で気になるなら、あまりおすすめできません。

……だから、苦手な人は無理して食べなくていいんですけど。

しかし、特筆すべき点としては、魚介類にもかかわらず野菜と同程度のβカロチンがあること。βカロチンは抗酸化作用が強く、同時にビタミンEEPAといった動脈硬化の抑制が期待できる成分がバランスよく含まれていることから、痛風を除く生活習慣病、高血圧とか糖尿病とかを気にしている人の場合はむしろ積極的に食べて構わない食材と言えそうです。

他にも鉄分、葉酸、ビタミンAなどがあります。ただし、これらは他の食品と比較して著しく多いわけではありません。

好きなら食べても問題ないと思う

ミョウバンの問題もそうですが、栄養面で見ても、ウニについては、好きならそれほど心配せず食べて構わないし、嫌いなら無理して食べなくてもいい……という結論になります。

そもそも、お寿司屋さんに行ってですね、ウニだけを10貫も20貫も食べるという人はほとんど見たことがありませんし……仮にそういう人がいたとしても、それを毎日習慣的に繰り返している人など、いないですよね?

軍艦のウニ1貫に乗っているウニはふつう20グラム弱です。低価格の回転寿司などの場合、半分以上がキュウリでカバーされているのでもっと少ない(ほとんど、無に等しい?)ですね(笑)

ふつうに食して、それだけで痛風の主原因になるほとでもないし、アルミニウム摂取量が基準を超えるということもまず考えられません。

安心して、たまに食べましょう。

最後になりますが、私は個人的には青森名産のウニのいちご煮はなぜか好きじゃありません。

でも瓶詰のウニ和えの珍味みたいなのは好きです。あれいつも父親が食べてたんだよな……なんていう商品だったか忘れちゃった。