意外に深刻な高血圧の影響。放置すると血管はどうなる?

高血圧は基本的に自覚症状がありません。健康診断などで高血圧と判定されない限り、本人が血圧の影響を自覚することはまずないでしょう。

あるいは、すでに高血圧症と診断されている人でさえ、軽く考えて放置することも珍しくありません。

サイレントキラーと呼ばれる高血圧が、血管にどんな影響を与えているのでしょうか?

高血圧で、血管はどうなっている?

血管は内側から内膜、中膜、外膜という3層構造になっています。

内膜は表面を内皮細胞に覆われて守られているのですが、血流の乱れや活性酸素などによって内皮細胞に傷が生じることがあります。

つまり内膜の防御がごく一部ですが破られた形になります。

血圧が高ければ、内皮細胞にかかる負担も大きくなり、内皮細胞も傷つきやすくなります。

その傷の部分にいわゆる悪玉コレステロール(LDL)などが侵入します。この侵入した悪玉コレステロールが酸化すると(酸化LDL)刺激物質が発生します。

すると今度はそれを攻撃するために白血球リンパ球なども集まってくると考えられています。

これらの物質が内膜で集まってマクロファージを形成します。マクロファージというのもともとは白血球の一部で、免疫機能を持つ有益なものですが、それらが内膜の中で作用しながら留まり続けると、プラークになります。

プラークとはいわば血管壁にできる「おでき」みたいな隆起したかたまりです。これがある程度育つと肥大したり繊維のように繋がったりしてきます。すると今度はそのプラークが生成、破壊を繰り返しているうちに付近の血液を固めることによって、血栓ができあがります。

この辺りはまだ解明されていないところも多く、細かい点では見解の差異もありますが、要するに、最初は血管の内側にある内皮細胞に侵入した異物が問題なわけで、これが長い期間の内に集積、変形して血栓ができる……と。

血栓というのは、つまり傷口にできる「かさぶた」みたいなものですよね?

……そして、怖ろしいことに、ここまではまったく自覚症状がありません。

しかし、この血栓が血流を止めてしまったところで大きな問題、つまり脳卒中心筋梗塞といった疾患が起こるわけです。

上の説明のような流れで血栓ができるのを、アテローム性動脈硬化と呼んでいます。

アテロームというのはギリシア語で「おかゆ」を表します。上で説明したようなプラークの形状がおかゆのように見えることから名付けられたそうです。

高血圧の場合、それだけ血管の負担が大きくなり、内皮細胞への刺激も増しますから、傷つく頻度も高くなると同時に

「マクロファージ →プラーク →血栓」

と進む度合いが早くなると考えられます。

動脈硬化にも種類がある

ところで、一般には動脈硬化と言えば上の「アテローム性動脈硬化」のことを指します。

しかし、実は動脈硬化には他の要因もあります。

ひつとは

「細動脈硬化」

と呼ばれており、血管壁が老化などよって弾力性がなくなってだんだん硬化していくことを指します。これはいわば自然な動脈硬化ということで、年相応に進んでいくわけですからこれ自体を防ぐ方法はほとんどありません。

もうひとつは

「メンケベルグ硬化」

と呼ばれています。血管の中膜にカルシウムが蓄積することで血管壁が脆弱化します。

これらの動脈硬化の場合にはアテローム性動脈硬化のように血栓を作ることはありません。

しかし、高血圧の場合は、このように硬化して弱っている血管壁に対しても比較的大きな圧力をかけ続けるわけですから、亀裂を生じたり破損したりする可能性も高くなっているわけで、仮に同じ程度の硬化が見られる血管だとしても血圧が高ければ高いほど疾患に至る確率が常に高い状態ということになります。