「いくらの偽物が出回っているらしい」「別にいいじゃん」

以前、お寿司屋さんなどで使われている「イクラ」は人工的に作った偽物だという話題が広まったことがありました。

その頃、本物のイクラはお湯の中に落とすと白い濁りが出るが、偽物のほうはそれがまったくないと聞いて、お寿司屋さんに行った時にお茶の中に落としてみたことがあります。

イクラの粒から白い成分がひげのように伸びたのを見て、

「ああ、やっぱり本物だ」

などと失礼な会話をしておりました。

と、これは私がまだ子供の頃(? 昔過ぎていつ頃だったか忘れた)の話です。昔はイクラというのは高級なイメージがあって、お寿司にしても「特上」じゃないとイクラは入っていなかった。

今のように、回転寿司で飽きるほど「イクラ」「イクラ」……「またイクラ」というような食べ方はとてもできなかったものです。

それが、もしかして偽物が使われているかも?

……なんてちょっとしたショック。それに、そんなのただの噂か都市伝説じゃないの? という感じで信じないヤツもいた。

人工イクラはふつうに売られている

しかし、あらためて探すと、これはもう都市伝説でも何でもなくて、思いっ切り大っぴらにふつうに販売されているではないか!

ほしえぬ サーモンドロップス【https://www.kewpie.co.jp/prouse/products/detail.php?p_cd=59324

原料表示を見ると、味付けには鮭などの魚から抽出したエキス的なものが使われています。しかし、形状は植物油やゼラチン、糊料などで作られているみたいですね。

しかも、Amazonなどで見ていると意外に値段が高いです。これじゃ本物のイクラのほうが冷凍ものとかならむしろ安いんじゃじゃないかと思うほどです。

一体何のために存在するのかよく分からない……と、新たな疑問に苛まれたのでした。

体への影響は?

イクラの栄養といって第一に挙がるのはアスタキサンチン。鮭はもちろんですがエビやカニにも含まれている赤色色素物質です。

活性酸素を抑制する働きがあると言われており、その抗酸化作用はビタミンC1000倍です。

そのため、アンチエイジング効果が期待されています。具体的には、視力調節の維持や筋力向上、疲労回復、またメラニン色素の抑制による美肌作用、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の改善などにも効果があると考えられています。

これに対して、人工イクラの中身はゼラチンや食用油を味付けしたもので、皮膜はアルギンさんカルシウムという人工物質です。当然ですが魚介類と同じような成分を期待することはできません。

人工イクラのオレンジ色は紅麹、あるいはカロチノイドと表記されています。カロテノイドは食品添加物に指定される着色料で、実は本物のイクラの色素であるアスタキサンチンも分類としてはカロチノイドに属します。

ただ、通常の食品に添加されるカロチノイドは微生物由来であることが多いのですがそれ以上に詳しい分類などは表記されないので分かりません。

また紅麹色素は麹菌の一種で様々な加工食品にふつうに使われるものです。

要するに、人工イクラに栄養とか期待してもそりゃ無理な話だと……いうことですかね。

プリン体は少ないかも

ただ、イクラというと私たち中高年が気になるのはやはり

「プリン体」

ではないでしょうか?

なんか、イクラってプリン体のかたまり? ……みたいなイメージありませんか?

青魚や貝類なら、まだタウリンだのDHAだの、健康に良い面も期待できるのですが、イクラって、まあそりゃ美味しいから食べたいんですけど、たいした健康効果もない割にプリン体がいっぱい……という固定観念が。

そうすると、私たちにとってはむしろ人工イクラを食べてた方が体に良いかもしれないなんて、考えてみたわけですが。

ですが実は、イクラに含まれているプリン体って、むしろ他の食品に比べても少ないんですって。

通常100g中に含まれるプリン体が200㎎を超えるといわゆる高プリン体食品ということになるのですが、イクラのプリン体含有量はたったの3.7㎎ですと。痛風の治療ガイドラインでもイクラはプリン体の含有量の4つのランク付けの中で最低ランクのもっともプリン体の少ない食品に分類されているのです。

なあ~んだ。

じゃあ、本物のイクラを食べればいいじゃん。何も心配する必要ないじゃん。

ただ……同時に私は考えました。

別に、偽物のイクラを食べてもまた、何も心配することもないし。

特に値段がお手頃なわけでもなく、第一、実際食べててどっちが美味しいもマズいもないのです。実際にはほとんど味で区別などできないくらいのものです。

多くの飲食店などであえて人工イクラが使用される理由としては、長期保存がきくのでそれほど大量に使用しない場合などは使い勝手が良いことと、熱に強いのでいろんな料理に使っても崩れたりしないので、使いやすい点がメリットとしてあります。

あと、そもそも栄養を目的に摂取しようとするほどイクラって毎日たくさん食べる食材じゃないなと。

……でも、プリン体を気にする必要がなくて良かった。